東北大学災害科学国際研究所 災害文化アーカイブ研究分野 災害文化研究室

災害文化研究分野では、過去の自然災害の記録・記憶を探り、
地域の歴史や風土を知ることから防災を考え、研究を進めています。

そこから、この列島に住む人々の災害観や自然観、生命観などに基づき、
人々の生活文化を守るための防災の在り方を考えていきます。

このページでは実施中の研究や過去の実績、開催予定のイベント等をご紹介しています。

新着情報

令和6年能登半島地震への対応について ―文化遺産防災マップを活用して被害状況の推定をしています。

災害科学国際研究所災害アーカイブ研究分野の蝦名裕一です。

令和6年1月1日に、能登半島を中心に大きな地震が発生しました。
発災から3日が経過し、甚大な被害状況が明らかとなり、被災地では今まさに懸命の救助活動、復旧作業が続いています。
被災地の皆様に一日も早く救援の手が届きますよう、心よりお祈り申し上げます。

今回の地震発生をうけて、私たちの災害科学国際研究所でも、被災地の救援のため、様々な活動をはじめました。
現在、私の研究室では、災害時に様々な文化遺産を守るための活動として、文化遺産防災マップを活用して被災地の文化遺産に対する被害状況の推定をおこなっています。
これは、各地の歴史資料や史跡といった様々な文化遺産の位置情報を、様々な災害情報と重ね合わせて、その被害状況を推定するものです。
(以前NHKで紹介された岩手県版の文化遺産防災マップの情報です。)

巨大災害が発生した際、被災地では被災者の救助活動や生活再建が最優先となり、古い文書や民具などまではなかなか手が回らず、その被害実態をつかむのはなかなか容易ではありません。
そこで、被災地の外からできる情報支援の一環として、私たちの研究室では、この文化遺産防災マップの作成と活用することで、被災地の外から文化遺産の被害状況を推定する研究をすすめてきました。
現在、私たちの文化遺産防災マップの研究チームで、能登半島地震の被災地にある文化遺産の位置情報と震度分布を重ね合わせ、被害情報の把握を進めています。
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今日からは学生たちも参加して作業を進めました。

まだ被害の全貌は明らかではありませんが、石川県内では国と県が指定している文化財だけでも
震度5強の範囲に含まれるのが300件近く存在する計算になりました。
未指定の文化遺産も含めると、膨大な量の文化遺産が被災している可能性があります。

一方で、こうした文化遺産の被災情報については、破壊や盗難の危険性があり、現段階では詳細な情報を発信できないのが現状です。
詳細については、災害科学国際研究所の緊急報告会でお話する予定ですので、本研究所のホームページをチェックしていただければと思います。
*災害科学国際研究所のホームページ:https://irides.tohoku.ac.jp/


現段階では被災された皆様が一刻も早く安定した生活を取り戻すことが最優先です。
いずれ被災地が復旧、さらに復興へ向かうとき、地域に伝来した様々な文化遺産は、地域再生の道しるべになるはずです。

今はその日が一日も早く訪れることを祈りながら、現在の作業を進めているところです。


シンポジウム「歴史が導く災害科学の新展開Ⅵ―文化遺産を守り伝える新たな技術―」

2023年1月、東北大学災害科学国際研究所、奈良文化財研究所、文化財防災センターによる連携研究協定が締結されました。この締結のキックオフとして、シンポジウム「歴史が導く災害科学の新展開Ⅵ」を開催いたします。

東日本大震災の教訓から文理融合による防災・減災技術の研究を展開する災害科学国際研究所、文化財の学際的・総合的な調査研究を推進する奈良文化財研究所、自然災害から文化財を守るための体制構築のための事業を展開する文化財防災センター、3者がこれまで取り組んできた文化遺産を守るための最新の技術やデータについて報告するとともに、現在災害科学国際研究所と連携して文化遺産の防災・減災に取り組んでいる防災科学技術研究所、岩手県立博物館における新しい取組についても報告します。また、それぞれの機関が連携することで、膨大かつ多種多様な文化遺産を守り伝える方法について議論します。


(1)日時:令和5年2月24日(金)13:45~16:30

(2)会場:東北大学災害科学国際研究所 1F 多目的ホールおよびオンライン(ハイブリッド形式)

(3)シンポジウム参加申し込みフォーム:
https://forms.gle/Hr93WZX9LRLskkeE8(申込期限:令和5222日(水)12:00) 




【報告】

・蝦名裕一(東北大学災害科学国際研究所)
「文化遺産防災マップの作成と活用」

・村田泰輔(奈良文化財研究所)
「考古資料による潜在化したハザードの見える化と歴史災害研究」

・上椙英之(文化財防災センター)
「災害文化としての自然災害伝承碑」

・鈴木比奈子(栗駒山麓ジオパーク推進協議会専門員)・三浦伸也・佐野浩彬・水井良暢・半田信之・吉森和城(国立研究開発法人防災科学技術研究所)
「地理空間情報で文化遺産を保全する」

・目時和哉(岩手県立博物館)
「防災マップの共同制作による地域の文化遺産防災力向上に向けた取組―岩手県の事例報告」

【コメント】
・金田明大(奈良文化財研究所埋蔵文化財センター長)
・建石徹(文化財防災センター副センター長)


主催:国立大学法人東北大学災害科学国際研究所
   独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所
   独立行政法人国立文化財機構文化財防災センター






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